独特の豊かな香ばしい匂いをふりまく「ちこもち」。お米を炊いているときからその香りは漂いはじめ、一口食べると忘れられなくなる… そんな貴重な木沢在来種の香りもち米の種を引き継ぎ、2018年から出羽(いづりは)で無農薬・無肥料栽培を始めました。それから毎年、ちこもちの苗を作り、昔ながらの手植えで田植えをしています。もちろん収穫後は天日干し。お赤飯など100%ちこもちはもちろん、うるち米に少し混ぜて炊くだけで、しっかり香りと味わいを楽しむことができます。
ちこもちのお話
いつどこからやってきたのかは謎だが、木沢の各地で稲作をやっていた家々の多くは、「ちこもち」と呼ばれる耐寒性のある品種を田んぼの水口(みなくち)に植えていたという。稲穂が出てまだ青い頃には、薄いピンク色の野毛を伸ばし、米を炊けば独特の豊かな香ばしい匂いが漂う。ゆえに「においもち」と呼ぶ人もいる。白米に少量のちこもちを混ぜてもそれとわかるほどの濃厚な香りがするし、それどころか稲藁からも匂いがするほど。
田植機が普及した近年、稲の苗を手で植えることがなくなり、わざわざ水口だけに手でもち米を植えるという人もいなくなった。しかし昔から親しんできたちこもちがなくなっては困る。「餅も赤飯も香ばしいほうがええ」。そんなおばあさん、福浦桃恵さんが出羽にいた。「ばあさんが使うけんな」と息子のしんちゃんは種籾を途絶えさせずに毎年ちこもちを植えた。数年前に桃恵さんは亡くなったが、百恵さんとしんちゃんと、この木沢のみんなのおかげで、ちこもちの豊かな香りは今もなお存在する。そしてこれからも幸せのにおいをふりまいてゆく。
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